2004-01-01から1年間の記事一覧
テレビで香取慎吾がかなり宣伝していたが、この映画はテレビ番組の延長線上にある。観客が笑っていたのは香取慎吾がマヨネーズご飯を食べたりオッハーといって子供にバカにされたりするところで、要するにテレビタレントを見に来ているんだなと思う。共演し…
冒頭、退屈な補習を抜け出して女の子だけでワイワイいいながら線路上を歩いて球場に弁当を届けにいくときの遠足気分が楽しい。後ろからの電車に驚いて田んぼに飛び込んだりその後川で遊んだり・・・。全く翳りのない健全な明るさが、ほぼ予想通りのストーリ…
どんでん返しが売りの映画のように言われているが、正直言って緘口令を敷くほど珍しいものではない。前半こそ村人の感じる恐怖を観客も共有することになるが、多くの観客は徐々にその恐怖の秘密に気づき始めるだろうし、真実が明らかになる瞬間にそれほど衝…
ドラキュラ三人娘(B級映画らしい安っぽいセクシーさがいい)が上空から村を襲撃し、それをヴァン・ヘルシング(ヒュー・ジャックマン)が高速連射できるボーガンで迎え撃つ場面はシューティングゲームのようなスピード感があって楽しい。建物や谷間の高低差…
ワダエミデザインの美しい衣装を身につけたチャン・ツィイーが、手につけた長い布を(一部特撮も使われているが大部分は彼女自身の舞踊の能力によって)まるで自分の体の一部のように自在に操り金城武やアンディ。ラウの前で踊るシーンは、二人の男性に愛さ…
失業率が実質50%を超える貧しい街で、新兵を「補充」するため軍人がキャッチセールスの要領で若者たちを次々と勧誘していく。学費を稼ぐためには、この街の外に出るには、軍隊を選ぶ以外にほとんど選択肢のない若者たち。やむを得ず子供たちを軍隊に送り…
美しい歴史学教授(レオノール・シルヴェイラ)とその娘(フィリパ・ド・アルメイダ)の歴史問答が映画前半の中心なのだが、この時の母親の何度も娘の髪をなでてやるしぐさ、娘を見つめるときのまなざし、それを見つめ返す娘の信頼に満ちた表情、手をつない…
アメリカ人大学生(マイケル・ピット)が美しい双子の姉弟(エヴァ・グリーン、ルイ・ガレル)とパリで映画を介して出会う。同じベッドで全裸のまま一緒に寝ている一卵性姉弟の生活の中に、人前で服を脱ぐことさえためらっていたマシューが、映画俳優たちの…
こんなに映画の中の誰かの日常生活を息をつめて、祈るように見つめ続けることは滅多にないだろう。それは生命の危機にすらさらされる子供たちの生活の貧しさ、悲惨さだけが原因ではなく、そこに思いもかけないささやかな豊かさを次々と見出してゆく彼らの行…
高校時代親友同士だった五人の女性たちは高校卒業後も定期的に会い続けている。しかし高校時代にはさほど意識しなかったであろう育った環境や経済状況の違いがその関係に亀裂を生じさせる。かつてなら楽しかったはずの五人での買い物も、親のコネで証券会社…
ストーリーやドラマを楽しむ映画ではなく、トニー・ジャーの超人的なアクションを堪能する映画。今までのカンフー映画とは違う、肘と膝を当てるムエタイ独特の格闘シーンが新鮮で、いろんな道具を(主に敵が)使ったり、膝が火で燃えていたりと、格闘シーン…
世間一般に知られたアーサー王物語とはかなり違い、帝国と植民地の物語になっている。アーサーはローマ帝国から辺境の植民地ブリテンを任された司令官で、騎士たちは征服された民族から徴用された兵士である。森に潜む原住民たちが半裸でボディ・ペインティ…
このシリーズは基本的に原作を読んでる人が楽しむものなんだろうなあと思う。原作ファンにとってはこれでも短すぎるくらいだと思うが、原作をほとんど読んでないような人(私もそう)にとってはむしろ長すぎる。恐怖とかダークな側面を今回演出で出そうとし…
字幕版。子供客は吹き替え版に流れたらしく観客は大人中心。この映画で出てくる童話や有名映画のパロディを楽しめるのは大人だろう。フラッシュダンスのパロディが出てきたときに即座に反応している客(私もそうだが)は二十代後半から三十代前半かな、たぶ…
冒頭、米軍基地のフェンスを乗り越えようとするケン(妻夫木聡)の躍動感、佐世保弁独特の柔らかな音とイントネーション、そこに重なるクリームの「ホワイトルーム」、ここでいい映画に違いないと確信する。ケンとアダマ(安藤政信)が走る場面はすべていい…
フィクションにおける機械と人間の関係というと最近は人間の意識がコンピューターのネットワークと接続する「電脳」が決まったパターンになりつつあるが、19世紀イギリスを背景にしたこの映画では人間は「手」でねじを回したりバルブを閉めたりして機械と…
英語のbrotherよりも漢字の「兄弟」という言葉のほうが主人公二人にはふさわしい。父がいない家庭で、兄はもっぱら弟の保護者として振舞う。自分の妻子よりも親兄弟を尊重するような道徳観にやや戸惑うところもあるが、兄の命を懸けた徹底的な自己犠牲の精神…
やくざ、殺し屋、銃とくれば派手な活劇を想像してしまうが、この映画での銃は運動感を画面にもたらすというよりも、むしろ心理的な装置のように思える。暴力団のような「集団」は背景に退き、撃ち合いはほとんどの場合一対一の対決という静的な構図のなかで…
一作目で魅力的だった、スパイダーマンの振り子運動での空中移動は今回も心地よい。最近の特撮映画では人間に重さが感じられない場合が多かったのだが、サム・ライミ監督は重力を観客に感じさせるための演出をしている。ピーター・パーカー(トビー・マグワ…
「翻訳」はしばしば異言語間での意図の食い違いを招くのだが、この映画の主人公の男女が孤独感にさいなまれるのは日米間の意図の食い違いだけが原因ではない。ボブ・ハリス(ビル・マーレー)の場合、仕事と家庭の両面で自分の居場所を失いつつある。妻との…
今まで決まりきったパターンの人気推理小説を書き続けてきた女性作家が、いらだちを男性編集者にぶつけ、彼は自分のフランスにある別荘を利用して創作に励むことを提案する。 作家としても、女性としても自らの性的な側面を抑圧してきた、あるいは抑圧するこ…
冒頭の、タムラが飼い主に捨てられるシーン。不必要に犬の顔をアップで撮る(擬人化)のではなく、遠ざかっていく車と犬の距離で関係の断絶を表わしている。その後犬が街中をあてもなくさ迷い歩くシーンも含めて余計なセリフ、説明もないのだが、そこがこの…
おそらく、私が現実にこの地区を通りかかったらできるだけ早く立ち去ろうとするだろう。建物を取り壊す暴力的な破壊音が絶え間なく響き、狭い部屋の中には薬を吸うために使う使い捨てライターのようなガラクタが散らかっている。部屋の主はいつか血を吐くん…
アメリカの新聞のレビュー(http://www.chireader.com/movies/archives/2004/0604/060404.html)の内容と読んだ感想。 内容を簡単にまとめると、いつものくだらないハリウッド映画なんだけれど、扱っているテーマは深刻で、しかもブッシュ政権は環境問題軽視の…
人々が災害などに襲われるパニック映画の見所は二つあって、一つは特撮で撮影される災害シーン(というか破壊シーン)、もう一つはその災害に対する俳優やエキストラのリアクションである。まず、特撮はなかなかすごい。見慣れたアメリカの大都会が竜巻や津…
今、頻繁に映画バトル・ロワイアルの名前がニュースや新聞に登場する。小学生殺人の加害児童が好んで見ていたらしく、これをわかりやすい「原因」にしてしまいたいということらしい。先日までは主婦層も見ていたテレビドラマの影響が語られていたはずだが、…
前方の真ん中の席を確保しラッキーと思っていたら前後左右を中年女性のグループに囲まれた。シネコンのこじゃれた座席指定サービス。何か隣の人ハンカチでずっとわきの下の汗拭いてるんですけど・・・。トイレのためロビーに出てみると、ブラッド・ピットの…
DVD(ASIN:B0001LNO74)で鑑賞。UNLOVEDを見て、万田邦敏の次回作を早く見たいと思っていたらテレビドラマシリーズの監督として登場した。万田の作品を見たいのは日本人だけではなく、カンヌではこの作品のフィルム版が監督週間に上映された。 次男を事故で…
前半部分は、登場人物の性格や状況、後半への伏線の説明などに費やされるが、ややテンポが悪くて退屈した。犯罪のために集まった五人の使う英語が全くタイプの違うもので、彼らと老婦人とのやりとりもそれなりにおもしろいんだけど、言葉のギャグってなかな…
一つ一つの画面はきれいなんだけど、なぜか全体としては散漫な感じがした。(現在編は特に。)ただ、監督やプロデューサーが力を入れただろう場面、例えば柴崎がカセットを聴いて涙を流すシーン(よくできたCMのようにきれいな画面だけど他のシーンとうま…