2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

いま、会いにゆきます

テレビドラマで活躍する土井裕泰の映画初監督作品。雨の季節に死んだ妻が還ってくるという不思議な出来事を、特撮にほとんど頼らず、春から梅雨の季節に入って変わる陽射しの変化、濡れて色の濃くなった森の緑、廃墟の濡れたアスファルトの色などで表現する…

2046

物書きであるチャウ(トニー・レオン)の前に現れる女性たちはみな報われない愛を生きている。そして彼女たちは相手が今自分のそばにいないことへの苛立ちや悲しさをまぎらわすため煙草を吸い、どうしても縮めることのできない相手との距離に涙を流す。彼女…

モーターサイクル・ダイアリーズ

砂漠、積雪、熱帯雨林など、旅してまわる南米の土地の変化が肌で感じられる。また行く先々で行われるダンスパーティーの音楽とそれにあわせて踊る人々のリズムも変わり、言葉使いも変わる。だが映画全体から感じられるのは乾いた気持ちのいい空気である。こ…

シークレット・ウインドウ

湖畔の別荘で執筆活動をする作家が主人公で、主人公を演じるジョニー・デップ一人で画面に映っていることが多く、彼の身辺で起こる出来事も彼の視点で語られるのだが、その視点自体が混乱していく。盗作を非難する謎の男(ジョン・タトゥーロ)に脅える小心…

恋の門

松尾スズキ初監督作品。蒼木門(松田龍平)が石の漫画を描く(作る?)という点を除けば売れる漫画か売れない石の芸術家かの選択とか、風俗店の前で躊躇したりする初体験に関する話とか、案外ありきたりのキャラなのに対して、最初会社勤めして普通に見える…

エクソシスト ビギニング

悪魔払いの物語である以上、観客が期待するのは単なる特撮モンスターとの対決や追いかけっこではなく、画面にみなぎる禍々しい悪魔的存在の雰囲気である。その雰囲気を出すために、カラス、蝿、蛆虫、ハイエナ、地下から発掘されたビザンチン時代の教会、逆…

下弦の月 ラスト・クォーター

原作は未読。複雑な家庭環境で家に自分の居場所がなく、だから恋人の隣にいることが何よりも大切なのに、彼氏の知己(成宮寛貴)が自分の友達と浮気して、自分だけのものと信じていた居場所も失った美月(栗山千明)が、謎めいた洋館でアダム(HYDE)と出会…

ツイステッド

父が母を殺し自殺するというトラウマ的事件が原因なのか、男性への攻撃衝動を持ち、実際に男性を打ちのめしてしまうほどの細身だが鍛えられた肉体を持ちながら、一度関係を持った男性の同僚がストーカーになってしまうほど男性を惹きつける魅力も持っていて…

予言

前半、子供を失った主人公の心理描写や夫婦関係の描写に時間を割いているのだが、夫婦が恐怖新聞の謎を追うプロセスに、例えばリングのような切迫感がなく、間延びした感じになってしまっている。リングのように死への明確なタイムリミットが設定されていな…

感染

備品すら不足しつつある経営危機の古びた病院が、もはや患者を責任を持ってみることができなっていく前半はなかなかいい。人手不足のためスタッフは過労で判断力を失っていき、患者は十分な手当てを受けられず放置され、新人スタッフはろくに注射や縫合もで…

珈琲時光

カーテンやすだれ、すりガラスなどで区切られた画面の奥から手前のほうへ柔らかい光が染み出してきていて、蝉の声や車の通る音なども聞こえてくる。侯孝賢の映画において、内部は外部から完全に遮断されているのではなく、光や音によって外部に開かれている…

堕天使のパスポート

ロンドンの狭いアパートの一室で互いの慣習の違いに配慮しながら密かに相手のことを想って共同生活を送っているトルコ人移民(クルド人の可能性もある)のシェナイ(オドレイ・トトゥ)とナイジェリア人不法滞在者のオクウェイ(キウェテル・イジョフォー)…