レディ・キラーズ

 前半部分は、登場人物の性格や状況、後半への伏線の説明などに費やされるが、ややテンポが悪くて退屈した。犯罪のために集まった五人の使う英語が全くタイプの違うもので、彼らと老婦人とのやりとりもそれなりにおもしろいんだけど、言葉のギャグってなかなかニュアンスがつかみにくい。

 ところが後半強奪作戦が動き出してからは面白くなってくる。犯罪計画自体がおもしろいし(リメイク作品)、ギャグが「言葉」中心のものから「動き」を伴ったものに変わり、一階、二階、地下室の空間、また家と教会、家とカジノの間の移動などがギャグに生かされている。登場人物たちの小ネタ(腹痛とかタバコとか)も犯罪の遅延や漏洩の危険と絡んで初めておもしろいものとなってくる。家の外、家の中、地下室を自由に行き来する猫も効果的に使われている。映画のタイトルが表しているように、老婦人と5人組との対決?がクライマックスになるが、ここでの不幸(幸運)の連続はかなり笑える。老婦人の幸運を陽気なゴスペル・ミュージックで演出し、五人組の不幸を不吉な彫刻や犯罪映画っぽい暗い街路、ゴミ運搬船の緩やかな動き、ポーの引用などで演出している。