デイ・アフター・トゥモロー

 人々が災害などに襲われるパニック映画の見所は二つあって、一つは特撮で撮影される災害シーン(というか破壊シーン)、もう一つはその災害に対する俳優やエキストラのリアクションである。まず、特撮はなかなかすごい。見慣れたアメリカの大都会が竜巻や津波で壊れていくところは迫力がある。ただし、世界で同時多発的に起こる異常気象が原因なので小惑星の激突のような映画的サスペンスを演出するのは難しい。それを無理やりだそうと異常に低温の寒気?が迫ってくるという無茶な設定もあるが、効果的とは言いがたい。
 あと、人間ドラマのほうはさほど目新しい設定もないのだが、感情移入できるキャラクターが少ない。またまた父親役のデニス・クエイドはいいとして、他はぱっとしない。図書館に閉じこもっている集団についても、極限状態に置かれた集団の一体感やら葛藤などはあまり感じられない。父と息子の再開の場面にしても、もう少し演出の仕方があるんじゃないかと思った。
 先進国と発展途上国の関係、いわゆる南北問題が、北半球中心に起こる異常気象によって逆転するという設定は環境問題へのわかりやすい皮肉になっている。あと、日本が出てくる場面は相変わらずまぬけ。