スウィングガールズ

 冒頭、退屈な補習を抜け出して女の子だけでワイワイいいながら線路上を歩いて球場に弁当を届けにいくときの遠足気分が楽しい。後ろからの電車に驚いて田んぼに飛び込んだりその後川で遊んだり・・・。全く翳りのない健全な明るさが、ほぼ予想通りのストーリー展開でギャグを織り交ぜながら最後の演奏会の場面まで持続する。湿っぽい恋愛も性愛も深刻な挫折も大人との対立や葛藤もない。友達と一緒に雪遊びしたり、バイトしたり、音楽やったりする楽しさだけでできた映画。ジャズも一緒に楽しく時を過ごすための一要素なので、ジャズへの偏愛とかを感じさせるような映画ではないし、大人のキャラはみんな影がうすい。
 主演の上野樹里はふくれっつらから笑い顔まで、クルクル変わる表情の変化が面白くて適役だが、雪合戦のときに横たわったときの色っぽい表情は魅力的。あと、眼鏡をかけた本仮屋ユカも漫画的な設定を超えた魅力的な表情を演奏中などに見せてくれる。ちなみに撮影は黒沢や青山の作品も担当したことのある柴主高秀。