2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

マシニスト

統一感のある青ざめたモノクローム調の画面が、独特の世界を作り上げている。青白い画面の中に浮かび上がるクリスチャン・ベイルの体や顔は、強烈な印象を残す。最初に出てくる海辺に低く垂れ込める雲、町工場のさび付いた機械、主人公の部屋にある冷蔵庫、…

きみに読む物語

映画の冒頭で、老人になったノア(ジェームズ・ガーナー)は自分を平凡な男と呼ぶ。実際、回想によって主役の若い男女、ノア(ライアン・ゴズリング)とアリー(レイチェル・マクアダムス)が最初に画面に映ったとき、男は平凡な労働者の若者にしか見えない…

ネバーランド

バリを演じているジョニー・デップの演技で最も重要なのはささやくような繊細な声だろう。この映画でのバリは単に子供っぽい成長を止めた人間ではない。だから彼の声も子供っぽい甲高い声ではなく、子供だけでなく大人の女性も引き付ける魅力をもっており、…

THE JUON 呪怨

映画の最初にあの家で犠牲者となるヨーコ(真木よう子)は、奇妙な物音に引き付けられるように少し開いたふすまを覗き込んでしまい、さらに屋根裏まで覗いてしまうのだが、ホラー映画の観客ならだれでもそこはやばいと思う場所に、ホラー映画の登場人物たち…

ボーン・スプレマシー

過去の記憶の断片に苦しめられるボーンの描写というパーソナルな側面と、国家間の利害がからむ事件というパブリックな側面が冒頭に続けて描写され、次に、ボーンがひっそり暮らすインドと事件の起きたベルリンという何の関係もない二つの場所が、ボーンを狙…

アレキサンダー

ここ数年作られてきた歴史物とは投入されている金額やスタッフ、キャストの数が違うことは、戦闘シーンの迫力から伝わってくる。そしてそれはアレキサンダー(コリン・ファレル)の偉大さというよりもむしろ狂気を描こうとしているオリヴァー・ストーンにと…

Ray レイ

しぐさや表情がレイ・チャールズにそっくりというだけでなく、スクリーン上で「ミュージシャン」の身体を表現しているジェイミー・フォックスの演技は評判とおりすばらしい。ライブやレコーディングの場面で演奏が白熱していくにつれ体の揺れが大きくなり、…

犬猫

スヤスヤと寝息をたてて部屋でねむっているスズ(藤田陽子)の横に置いてある本のページが、少し開けたサッシ戸から入ってきた湿った微風でめくれ、しとしとと降る雨がサッシ戸の隙間から見え、静かな雨音が室内を満たしている。この場面で見られるように、…

パッチギ!

パッチギという言葉は本編では頭突きを意味する言葉として使われているが、本来は突き破る、乗り越えるという意味だという。そしてこの映画は壁を突き破り、隔たりを乗り越える動きに満ちている。冒頭でのバスを横転させる朝鮮高校生の直進的な動き、アンソ…

オペラ座の怪人

クリスティーヌ役のエミー・ロッサムはミスティック・リバーやデイ・アフター・トゥモローに出演していて、確かにきれいだけれど特に目立つタイプの女性には見えなかった。この作品でも、最初クリスティーヌはダンサーの一人であって、美しいけれど抜きん出…