マッハ!!!!!!!!

 ストーリーやドラマを楽しむ映画ではなく、トニー・ジャーの超人的なアクションを堪能する映画。今までのカンフー映画とは違う、肘と膝を当てるムエタイ独特の格闘シーンが新鮮で、いろんな道具を(主に敵が)使ったり、膝が火で燃えていたりと、格闘シーンが単調にならないような工夫も随所でなされている。あと、打撃が本当に相手に当たっているという感触が伝わってきて迫力がある。また敵から逃走するシーンでいろんな障害をトニーが信じられない運動神経で次々と飛び越えていくところもアイデア満載でおもしろい。
 欲を言えば、悪役とパートナー役を含む脇役の俳優がもう少しよければドラマ部分も退屈しなかったと思う。対決シーンへと盛り上げていくには悪役の存在感が不可欠だし、寡黙な主人公におしゃべりなパートナー役をつけるのはいいけれど、おもしろいというよりちょっとうるさい感じがした。ドラマ部分になるたびに、アクションシーンがくるのが待ち遠しかったけど、おもしろいアクション映画って普通のシーンでも次のアクションシーンへの予感というか緊張感があるものなので、その辺がちょっと残念。