2006-01-01から1年間の記事一覧

こちら(http://kinetic.blog60.fc2.com/)に移行します。ブックマークに入れてくれている人たちにはご迷惑をおかけしてすいません。特定の記事にリンクしている方もいるので、こちらのサイトは閉めずにそのままにしておきます。

SPIRIT

強さを求める戦いが血なまぐさい殺人の応酬に行き着く前半、自然や村人との調和の中で生きる中盤、そして両方の特徴つまり静と動を併せ持つアクションをジェット・リーが見せるクライマックスの戦い、という三つのパートがうまくつながっていて面白い。 アク…

県庁の星

他の建物よりも飛び抜けて高い県庁と平べったい形の三流スーパーが示すように、官の世界と民の世界は明確に色分けされている。この明確な色分けは登場人物の造形にも表れていて、県議会議長や癒着する大手建築会社などは時代劇で言えば悪代官と悪徳商人であ…

エミリー・ローズ

大学寮で平穏な学生生活を送っているエミリー(ジェニファー・カーペンター)が、ある夜不気味な気配を感じた後金縛りのように体が硬直するという、最初の悪魔との接触場面や、その後空の黒雲から同級生の顔まであらゆるものが悪魔に見えてくる場面、また神…

力道山

この映画で、力道山(ソル・ギョング)は日韓双方の観客の安易な感情移入を拒む怪物として描かれている。冒頭、相撲部屋で朝鮮人であるという理由でリンチされる場面では確かに抑圧される被害者だが、彼はそんな位置に甘んじるスケールの人間ではない。逆に…

クラッシュ

The sense of touch という言葉で始まるこの映画は、他人に触れることの優しさと残酷さをこちらの肌にひりひりと感じさせる映画である。この映画を見た人なら、誰しも忘れられない「触れあい」の場面がいくつかあるのではないだろうか。 鍵屋の父親(マイケ…

ホテル・ルワンダ

普段混ざり合って生きている人々の間に、突然線が引かれる。そしてどちらの側に所属しているかによって、彼らの生死が決まる。ルワンダのフツ族とツイ族の間の差異は、彼らでさえIDカードを見なければ確認することができない。しかし、植民地支配の政策とし…

ウォーク・ザ・ライン 君につづく道

伝記物によくあるように、幼少期の経験が主人公ジョニー・キャッシュ(ホアキン・フェニックス)の人生に大きな影響を与えている。一つはラジオから流れてくるジューン・カーター(リース・ウィザースプーン)の歌声に出会ったこと、もう一つは兄の死である…

ジャーヘッド

主人公スオフォード(ジェイク・ギレンホール)が体験するのは敵と直接接触することのない奇妙な戦争である。訓練や上官の扇情的な演説によって殺意を高められた若い海兵隊員たちは、一国も早く銃を撃ち敵を殺したくてたまらない衝動に駆られるが、彼らの周…

エリ・エリ・レマ・サバクタニ

何のために生きるのか、という問いは危険な問いである。目の前の目的(end)を見失ったとき、人は人生の最後にやってくるより大きなThe End(終わり)に捕まってしまう。自殺を誘発するレミング病にかかった宮粼あおいがどうせみんな最後には死ぬのに、なぜ…

ミュンヘン

アヴナー(エリック・バナ)が情報屋ルイ(マチュー・アマルリック)を待っている時、目の前のショーウインドウにはピカピカのシステムキッチンがある。ガラス一枚を隔てて目の前にあるのに、そこには決して超えられない距離があるように感じる。アブナーの…

オリバー・ツイスト

セットや衣装によって再現されたヴィクトリア朝ロンドンの猥雑な雰囲気は十分楽しめる。表通りから狭い路地裏に入るにつれ、汚れて荒れた感じになっていく。 ただ、映画自体は淡々と進んでいく感じで、躍動感を感じるような見せ場が少ないように感じるのは、…

フライトプラン

題名の「プラン」はある犯罪計画を指しているのだが、ここに本格的なミステリーのようなリアリティを求める人はがっかりするかもしれない。これは母親(ジョディ・フォスター)が娘(マーリーン・ローストン)を探し出すという物語のための設定にすぎないの…

レジェンド・オブ・ゾロ

ヒーローも悪役も冒険活劇のパターン通りなんだけれど、そこが楽しい。スパニッシュギターの音とともにゾロを演じるアントニオ・バンデラスが現れると、民衆(ヒスパニック系)はみんな拍手する。悪役は顔に傷のあるワイルド系と何かをたくらんでいるクール…

THE 有頂天ホテル

こういうオールスターキャストの映画の場合、短編をつなぎ合わせたようなまとまりのない映画になりがちなのだが、この映画は一本の映画を見たという充実感を観客に与えてくれる。俳優たちそれぞれにちゃんと見せ場があり、しかもそれらがお互いに結びついて…

プライドと偏見

一つの空間に複数の人間がいて、そこでそれぞれが自分なりの態度で生きている。そして時折それぞれの人生が交錯する瞬間があるのだが、冒頭のベネット家の描写や舞踏会の場面で、移動撮影によるカメラがその瞬間を捉えている。ほとんどの地主階級の独身女性…

輪廻

主人公杉浦渚(優香)は映画女優であり、彼女は記憶というタイトルの映画撮影に参加している。過去の大量殺人事件に強い興味を持ち、過去の正確な再現に異常に執着する映画監督(椎名桔平)によって行われるこの映画撮影は、過去を現在に蘇らせる、そして前…