2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ミリオンダラー・ベイビー

ジムの片隅で夜になっても一人で黙々とサンドバッグを打ち続けるマギー(ヒラリー・スワンク)には、前向きに生きる強い意志が全身から感じられる。そしてそれは映画の最後までそうなのだということを強調しておきたい。精神的に堕落した家族から離れて一人…

炎のメモリアル

一人の消防士の半生を短いエピソードを連ねて見せる構成は伝記映画などにもよくあるもので、どうしてもダイジェストを見ているような気分になりがちである。平和な日常生活と命を落とすかもしれない恐ろしい火災現場が交互に映し出される構成は、映画として…

ザ・インタープリター

ただ守られている女性ではなく、人には話せないある秘密の過去と悲壮な決意を秘めている国連通訳をニコール・キッドマンが、持ち味のシャープな存在感を生かして好演している。個人的には華美なドレスよりも、この映画のような働く女性らしい黒いパンツルッ…

キングダム・オブ・ヘブン

物語の核になる人間関係、例えばバリアン(オーランド・ブルーム)と父(リーアム・ニーソン)の絆とか、バリアンとシビラ(エヴァ・グリーン)の恋愛関係などの描写がやや薄い気がするのだが、撮影したシーンをかなりカットしたらしい。また後でDVDの完全版…

デーモンラヴァー

女性が罠にかかって倒錯的な世界に堕ちていくという物語ならいくらでもあるが、この映画はそれとは少し違う。主人公の女性(コニー・ニールセン)が堕ちていくのは倒錯的なサイトにアクセスしているパソコンの小さな画面の中なのだ。パソコン画面を見つめて…

交渉人 真下正義

列車がいつぶつかるか、爆弾がいつ爆発するかというサスペンスとパニックは、映画に適した題材であり、今まで色んな映画で取り上げられてきた。ただ、この映画がこのジャンルに新しく加えたものはあまりなく、過去のアニメや映画の引用からできている映画と…

コーヒー&シガレッツ

登場人物たちの多様性にまず驚く。人種、年齢、国籍、社会的地位、趣味、性格、話し方が異なる登場人物たちがコーヒー(時には紅茶)とタバコによって緩やかにつながっている。彼らの会話はいつも微妙なずれをはらんでいて、双子やいとこ、親子間の会話であ…

真夜中の弥次さん喜多さん

江戸から伊勢に向かう道程を、ぺらぺらした紙のような現実の狂騒から死の領域まで自在に行き来しながら描くしりあがり寿の傑作漫画の映画化。監督は宮藤官九郎。豪華な脇役を使ったギャグ(松尾スズキと古田新太の使い方はかなり笑えた)の連続と主役二人(…