コンスタンティン

 物語の中に人間、天使と悪魔、そして神という三つの階級がある。(ただし神は登場人物としては登場しない。)主人公のコンスタンティンは人間だが、人間界に入ってこようとする悪魔を追い返す悪魔祓いである。コミックを原作としているが、ちゃんとキリスト教に基づく階級を維持していて、主人公の能力も天使ガブリエルや悪魔ルシファーを上回るわけではない。そのことが物語のクライマックスのアクションをやや物足りないものにしている。かっこいい悪魔退治の道具で戦う場面がもっとあってもよかったような気がする。世界が破滅する危機というスケールの大きな話がロサンジェルス、すなわち天使の街に限定されていて、悪魔の数が妙に少なかったりする。あと、下級悪魔や悪魔の息子が特撮で造形されたモンスターなのに、ルシファーだけ白い背広を着た俳優が演じていたりするのも、いくら元天使とはいえ違和感がある。
 神父のような神を代行する存在ではなく、自己中心的なところが、コンスタンティンのダーティ・ヒーローとしての魅力だと思うが、キアヌ・リーブスは甘いマスクなのでどうしても善の側に見えてしまう。ブラックスーツと緩めに締めた細いブラックタイで煙草を吸っているキアヌは(だらしない悪人を演じたと自負しているキアヌには悪いが)かっこいい。女刑事の凛々しさと霊感の強い繊細さを併せ持つアンジェラとイザベルの双子を演じているレイチェル・ワイズが魅力的だ。