ナショナル・トレジャー

 宝を追いかけていたグループが仲間割れして二つに割れてしまい敵対関係になる。独立宣言書を守る役目の女性研究員(ダイアン・クルーガー)と、盗み出す主人公(ニコラス・ケイジ)はもちろん最初は敵対関係にあるが、やがて行動を共にすることになる。宝探しに否定的な父(ジョン・ボイト)と宝を追う子の関係は、宝のありかに近づくにつれ、変化していく。宝を追う二つのグループと宣言書を追うFBIハーヴェイ・カイテル)の三者の関係も状況に応じて敵対関係になったり協力関係になったりする。もちろん、やむなく互いに協力している間も、いつ相手が裏切るか分からない。宝探しに関わる人たちの人間関係が変化していくことが、退屈せずに楽しめる理由かもしれない。次々と手がかりが見出されていくご都合主義的な展開も、この手の映画では間延びしないでよかったと思う。
 アクションの切れと知的な風貌が必要なゲイツ役にニコラス・ケイジは合っていたと思うが、アクションの切れは昔より落ちたような気がする。ゲイツの相棒ライリー役のジャスティン・バーサが道化的な役をうまく演じている。
 古代のロマンなどとはあまり関係なさそうに見えるアメリカ合衆国と、神秘主義的なフリーメーソンの関係というのは面白い。ワシントンDCの都市計画へのフリーメーソンの影響などを論じた本もあるし、宣言書や街のあちこちに暗号が隠されているというのは、アメリカ人にとってはそれほど現実離れした話ではないのかもしれない。陰謀説など、オカルト的な文脈で語られることも多いフリーメーソンだが、メンバーたちの話が以下のサイトで見られる。
http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/fmei.htm