オーシャンズ12

 プロの泥棒がチームを組んで大仕掛けの仕事をするというストーリーと、普段共演する機会のないハリウッドスターたちのリラックスした会話が交互にでてくる。会話の中には面白さの伝わらないギャグもいくつかある。しかし、ここ数年の間にハリウッドでのステータスが上がったマット・デイモンが、ストーリーの中では何とかグループ内で見習いの立場から中心的役割へステップアップしようと奮闘するところや、ジョージ・クルーニーが他人から何歳に見られているかを気にするところ、ジュリア・ロバーツが自分のイメージをパロディにしてしまったりするところなどは、思わず笑ってしまう。
 ただ、スターを見に行くつもりならこれだけで満足できるかもしれないが、フィクションとしてはちょっと物足りない。それぞれのキャラのプロとしての側面があまり描かれていないし、盗みの仕掛けもさほど驚くものではない。プロ同士が互いのプライドをかけて対決するクライマックスも、審判を味方につけてしまったような勝ち方でいまひとつ盛り上がらない。