エイリアンVS.プレデター

 この映画には二つの側面がある。一つは映画のタイトルが示しているとおり「怪物」対「怪物」の死闘であり、もう一つは「襲ってくる怪物」対「襲われる人間」である。襲われる恐怖を演出するためにポール・W.S.アンダーソン監督はバイオハザードの時と同じように地下の閉鎖された空間を舞台として選んでいて、映画の前半はこの設定を演出するのに時間をかけている。ただ、襲う側が二つに分かれていること、モンスターがどのように人を襲うのかすでに観客がよく知っていること、襲われる側の俳優があまり印象に残らないこと、などの理由から、このシーンはあまり盛り上がらない。
 観客がタイトルから期待していたのは怪物対怪物のほうではないだろうか。まるでプロレスのようにプレデターがエイリアンを振り回して放り投げるシーンもあるのだが、こういう対決場面がもっとあってもよかったと思う。プレデターが一種のイニシエーションとして監獄のような場所で飼育しているエイリアンと戦うという設定は面白いし、こちらにもっと時間を割いてほしかった。ただ、いったんアクションが始まると余計なドラマ場面を入れずに最後までもっていき、100分で映画を終らしてしまう構成なので、映画の後半に関しては途中で退屈するようなところはなかった。