ハンニバル・レクターシリーズ

 今日はDVDで久しぶりにレッド・ドラゴン (ASIN:B00006K0HH) を見直す。3作それぞれ監督の個性が違うので面白い。

 私は羊たちの沈黙 (ASIN:B0001E3DKO) が一番好きだけれど、それはレクターとクラリスの面会シーンの緊張感が好きだから。彼は噛み付き魔なので一定の距離以上近づくことは死につながる。加えて、レクターがクラリスに性的な魅力を感じているのだから、この距離には死の恐怖と官能性が両方みなぎっている。この場面は撮影も音響効果も俳優の演技も全部いい。

 それに対してハンニバル (ASIN:B00007B98T) は恐怖や官能性をかなり直接的に見せようとする傾向があるけれど、いい俳優が出てるのにもったいないなという気がした。ジュリアン・ムーアの演技力を生かせていないと思うし、レクターも1作目の異様な雰囲気はあまり感じなかった。ショッキングなシーンで怖がらせようという作り方をしていると思う。

 レッド・ドラゴンエドワード・ノートンがすばらしく、レクターと対決する最初の場面などはなかなかいいと思う。彼はこういう受身の役にはすごく合うと思う。レイフ・ファインズ演じるトゥース・フェアリーは虐待のストーリーもあって理解しやすい反面、レクターの凄みみたいなものは感じず、盲目の女性との関係もレクターとクラリスの関係のような妖しさを出すところまではいっていない。レクターもあまり後半では緊張感を漂わすような見せ場が少なかったのは残念。

 複数の人物が画面に映る場面で、その距離をどう演出するか、その距離にどれほどの緊張感を注入するか、これはやはり監督の才能なんだなあと、当たり前のことなんだけど改めて感じました。